わたしと、不思議な世界のこと
私は牡牛座の新月生まれ。出身は東京です。
小学校の高学年まで下町の空気が残る賑やかな土地で育ちましたが
父の仕事の都合で、とある地方都市に引っ越すことになりました。
転校する時、仲の良かった友達がお守りをくれました。
私の名前が刻まれた、シルバーのペンダント。
「どこに行っても、ぜったいに守ってくれるよ」
引っ越し先は歴史のある、古くて大きな元・城下町でした。
お店も公園も学校も驚くほど広々していて、心細くなるほど。
ペンダントは学校にしていくと叱られると思い、
チェーンをはずして、いつもペンケースの底にしまっていました。
知らない土地に来た私を、守ってくれる気がして。
子どもっぽいいじめの標的になったり、成績が下がったり、
新しい生活ではつらいこともありましたが、
別の友だちや先生に不思議といつも助けられました。
魔法のような見えないチカラは、存在する。
そんな気がして、それ以来、占いやジンクスなどがパワーを発揮する、不思議な世界の虜になりました。
7年後、進学を機に東京へ戻り、就職、そして結婚。
30代で夫の地元である神奈川県に移り住みました。
その間、不思議な世界とは
ずっとつかず離れずの関係でいたように思います。
大きな転機が訪れたのは、数年前。
急病で夫が亡くなり、私は嫁いだ先で「おひとりさま」になったのです。
人生のパートナーを失った悲しみや寂しさはもちろんのこと、悩みごとや迷ったことを相談する相手がいない心細さも身に沁みました。
この心細さは、覚えがある。そう、子どもの頃。
こうして私の「不思議な世界」への旅はふたたび始まったのです。
占いを嗜む者として、この考えが正しいのかわかりませんが、
私は『未来は自分が創っていくもの』だと信じています。
そのためにも、人生のシナリオは自分で書く。
人まかせのまま長い人生を歩むのは、とても不安で怖くて、何よりも、なんだかもったいない気がするのです。
そのシナリオは、望む地へとたどり着くまでの長い旅の物語と言ってもよいでしょう。
人生の岐路や、迷い道で。
どうしてこういう状況になったのか、これからどのように進めばいいのか。
自分が本当は、どこに向かいたいのか。
私にとって占いは、夜道で手にした小さな明かりのような存在になりました。
星やカードの答えによって未来が照らされると、少し心強い気持ちになるのです。
その後出会った友人に勧められ、
自分のためだけでなく人を鑑定することもできるように、占いを学びなおすことになりました。
不思議なもので、ご相談者さまも紹介で増えていき、現在にいたります。
そのペンダントは、数十年たった今も私のアクセサリーケースに入っています。
チェーンはとうの昔に切れ、プレートはどんなに磨いても曇りが取れないまま。
でも、
「どこに行っても、ぜったいに守ってくれるよ」
その言葉は今も、人生の心細い夜道で私に寄り添ってくれているのです。